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退去強制と出国命令の違いについて教えてください

入管法に違反した外国人に対しては、強制的な国外退去措置(強制送還)が行われます。この強制送還は、退去強制と出国命令の2つの手続きで行われます。ここでは、両制度の違いについて説明します。
 
◆強制的な国外退去(強制送還)
  • 日本に在留する外国人を強制的に出国させる(母国に送り返す)行政手続には、前述のとおり「退去強制」と「出国命令」という2つの手続が存在します。
  • 退去強制(入管法 第24条に規定
    • 「退去強制」とは、「出入国管理および難民認定法(入管法)」によって定められた行政処分の一つです。この処分は、日本に滞在している外国人を強制的に国外へ退去させることを指します。
    • 退去強制は、我が国への不法入国や、在留許可の範囲を超えて滞在するなど、入管法第24条で明記されている退去強制の理由に該当する外国人に対して行われます。その目的は、我が国の安全や利益を守ることにあります。
  • 出国命令(入管法 第24条の3に規定
    • 出国命令制度は、外国人が速やかに出国することを希望し、自ら地方出入国在留管理局に出頭することで適用される制度です。要件を満たす必要がありますが、退去強制と比較して、外国人にとっても非常にメリットが大きい制度と言えます。(身柄の不拘束・上陸拒否期間の短縮・手続きの簡略化)
 
◆身柄の拘束(収容)
  • 出国命令と退去強制の大きな違いとしては、退去強制は身柄が拘束され、出国命令においては身柄が拘束されないという点にあります。
  • 退去強制の場合には、直ちに我が国から送還することができないときは、送還可能のときまで、対象者を入国者収容所などに収容できるとされています。
 
◆強制的な国外退去の対象者(退去強制事由)
  • 強制的な国外退去の対象者(退去強制事由)は、入管法 第24条に細かく規定されていますが、代表的なものは以下のようになります。
  • 不法入国者、不法上陸者、不法残留者、不法就労者、刑罰法令違反者、規制薬物違反者、売春関係者など
 
◆出国命令が許可される場合
  • 退去強制は、当該外国人の意思に関係なく、一方的・強制的に送還されることとなります。一方、出国命令は、当該外国人のある程度の自由な意思に基づいて自発的に出国することとなります(ただし、必ず出国することとなります)。
  • 出国命令制度は、不法残留者に対する手続きを簡素化し、出国を促進する制度です。この制度は、入管法違反者の中でも特定の条件を満たす、不法残留者に適用されます。
  • 外国人が出国命令に該当するためには、以下の条件を全て満たす必要があります。
    • 速やかに日本から出国する意志を持ち自主的に出頭した
    • 違反が不法残留(オーバーステイ)のみである
    • 入管法に規定された一定の罪により懲役刑等の判決を受けていない
    • これまで強制送還や出国命令を受けたことがない
    • 速やかな出国が確実である
 
◆日本に入国できない期間(上陸拒否期間)
  • 不強制的な国外退去を受けた外国人は、一定期間日本に上陸することはできません。具体的な期間は、以下のようになっています。
  • 過去に退去強制や出国命令を受けた者(リピーター)の場合は10年
  • はじめて退去強制された者は5年
  • はじめて出国命令を受けて出国した者は1年
  • 入管法に違反した外国人には、一般的に「退去強制」という手続きが行われますが、特定の条件を満たす場合には、特例として「出国命令制度」が適用されます。もし要件を満たすことができる場合、出国命令制度の適用を受けることは、処分も軽くなり、対象外国人にとって多くのメリットがあります。
 
◆手続きの流れの違い
  • 退去強制と出国命令では、手続きの複雑さも大きく異なります。退去強制は、外国人を強制送還するものとなり、「入国警備官の違反調査→入国審査官の違反審査→そして特別審理官の口頭審理」という一連の手続で作成された証拠(事件記録)を調べて、法務大臣が決定するという手順が必要になります。出国命令においては、このような手間のかかる審査はありません。
  • 退去強制の流れ
    • 入国警備官による対象者の身柄拘束(収容)→入国審査官に引き渡し→入国審査官の違反審査→特別審理官の口頭審理→法務大臣に対して異議の申出→法務大臣による裁決(※)→退去強制令書の発付→強制送還
    • 法務大臣による裁決の特例(在留特別許可)
      • 在留特別許可は、通常、我が国から退去強制されるべき外国人に対して、法務大臣が在留を特別に許可できる制度です。許可が与えられるか否かは法務大臣の自由裁量によって決定されます。
  • 出国命令の流れ
    • 外国人が自ら出頭→出国命令にかかる審査→出国命令書の交付→出国
 
◆出国費用
  • 強制送還が決定した場合、帰国のためには当然ながら交通費などが必要となります。この出国費用は、強制送還の対象者が負担する以外にも、国が負担する場合や、運送業者が負担する場合の3つのパターンがあります。
  • 退去強制の出国費用
    • 基本的には自己負担の方針をとっていますが、現実的には国費負担も多くなっています。運送業者負担は、ごく稀なケースとなります。
  • 出国命令の出国費用
    • 基本的には、自己負担となります。自ら出頭するときに、有効な旅券を持参するのが、原則的なルールとなります。

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