合同会社を設立する際には、定款の作成が必要となります。定款とは、会社の経営を円滑に進めるためのルールや規定をまとめた重要な文書です。
ここでは、合同会社の定款作成の手順や必要な情報、留意すべきポイントについて解説します。また、定款の役割や法的効力についても触れながら、合同会社設立における定款作成の重要性をお伝えします。正確で適切な定款の作成は、会社の運営において重要な要素となりますので、よく理解しておきましょう。
◆合同会社の社員=出資者
- 合同会社は、株式会社とは異なり、出資者が社員となる形態をとっています。つまり、出資者が合同会社の社員として事業に参画するため、定款の作成には出資者の意思を反映させる必要があります。
- 定款とは、合同会社の組織活動の根本規則であり、法律に基づいて作成されます。定款の記載内容は、絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項の3種類があります。
- 定款の作成においては、出資者の意思を十分に反映させることが重要です。合同会社の設立では、定款の作成は必須となり、出資者が一人だけで、出資者の間での争いがない場合でも同様です。
- なお、合同会社を設立する場合、定款の収入印紙代4万円と、「出資金の0.7%分の登録免許税(最低額6万円)」が必要です。しかし、電子定款を作成すると収入印紙の貼付は不要となり、実質的には6万円で合同会社を設立できます。
◆絶対的記載事項
- 絶対的記載事項は、必ず記載しなければならない事項であり、定款に含まれていないと定款自体が無効となる可能性があります。
- 絶対的記載事項の中には、会社名(商号)や合同会社の事業目的、本店所在地などが含まれます。これらの情報は、会社の正式な識別や事業遂行の基盤となる重要な要素です。
- また、出資する社員の氏名や法人の名称、住所も絶対的記載事項の一部です。これは、会社の出資者の情報を明確にすることで、責任の範囲や権限の明確化に役立ちます。
- さらに、全社員が有限責任であることを示すことも含まれます。これは、合同会社の特徴であり、出資者が会社の債務に対して限定的な責任を負うことを意味します。
- 社員の出資する内容とその価額、評価基準も絶対的記載事項の一部です。これにより、出資者の権利や責任の範囲が明確化されます。
- 合同会社の絶対的記載事項をまとめると、以下のようになります。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 社員の氏名または名称と住所
- 社員の全員が有限責任社員である旨
- 社員の出資目的とその価額または評価の基準
◆相対的記載事項
- 相対的記載事項とは、会社法の規定により定款に定めがなければその効力を生じない事項をいいます。
- 例えば、「業務執行社員」の選任方法や役割、会社の経営方針や組織構成、決定権の行使方法などが相対的記載事項に含まれます。これらの事項は、会社の運営において重要な役割を果たしますので、明確に定めることが必要です。
- また、合同会社の定款作成においては、株式会社とは異なる特徴があるため、注意が必要です。合同会社は、株式会社と比べて自由度が高いですが、その分、定款の作成においても慎重な考慮が必要です。
- 定款作成の際には、全社員(出資者)が納得し、解釈に差が出ないようにすることが重要です。また、定款の修正には全社員の決議や変更登記が必要となるため、定款作成時に細心の注意を払うことも重要です。
◆任意的記載事項
- 任意的記載事項は、法律に違反しない範囲内で自由に定めることができる事項のことです。定款における任意的記載事項には、業務執行社員の人数や報酬、事業年度の期間設定など、会社の運営に関わるさまざまな事項が含まれます。
- 任意的記載事項は、会社の特性や目的に応じて柔軟に設定できます。しかし、法律に違反する内容や不適切な事項を記載してはなりません。適切な任意的記載事項を設定することで、会社の効率的な運営や、組織の発展に寄与できるでしょう。
◆合同会社では定款の認証は不要
- 合同会社の場合、定款の認証は不要です。つまり、公証人の認証を受ける必要はありません。これは、合同会社の設立手続きを簡素化し、費用や時間を節約するための制度です。
- 一方、株式会社の定款は、公証人役場で認証を受ける必要があります。これは、株主や経営者の権利を保護するためのものです。
- 合同会社と株式会社、両者は営利を目的とした会社ですが、設立時の手続きや費用には違いがあります。合同会社は定款の認証が不要なため、より簡単に設立できます。
合同会社の定款は、会社の運営において大きな役割を果たします。正確で適切な定款の作成は、会社の活動の基盤をしっかりと築くために重要な要素です。 定款に会社の基本情報や運営ルールを明確に記載することで、社員間の紛争やトラブルを予防し、円滑な経営を実現することが可能になります。合同会社の設立を検討している方は、定款の作成に注意を払い、適切な内容を盛り込むよう努めましょう。